心得と作法

まずは、非常に誤解がされていると感じる事は、寺院も含め参拝者もお遍路は「修行」であるという認識です。

四国を歩いてお遍路をした時には、確かに修行「みたく」大変な思いをしましたが、それでも、得度をして本気で修業をしている方に失礼な思いがします。かといって遊戯かと言われると、それも少し違う気がしています。

お遍路としての信仰心
お遍路としての信仰心

手を合わせる事は「信仰心」の表れで、即ち「大切な人の幸せを願う」事では無いでしょうか。

日常生活では、なかなか、心を静かにして「大切な人の幸せを願う」機会などございません。参拝する事で、他人の幸福と自身の幸福が重なった時、心から癒されることでしょう。

寺院の行事では無い

高野山

一般の寺院での行事と、根本的に違うのは、寺院の行事はご住職様がお経を唱えるのに対して、お遍路は参拝者がお経を唱え、ご住職様は見守るだけです。

正式に入門する事で、四国遍路を修行の場として参拝する事は、寺院の行事となるかもしれませんが、一般人のお遍路は寺院の行事では無いという事です。

四国でもそうですが、基本的には寺院の行事の邪魔にならないよう、振舞うのが作法となっています。

寺院の対応について

まだまだ、伊豆八十八ヶ所霊場は復興というには程遠い状態ですし、今のご住職が入山して知ったという寺院も少なくありません。しかも、非常に中途半端な状態なのと、曹洞宗がほとんどなので「お遍路」とは無縁な寺院も多いです。

お遍路に不慣れな寺院も多いので「専用納経帳」を用意しました。ご住職が居なくても、奥様や関係者の方に三寶印を押していただければ済むようになっています。

時折、四国を何度も参拝しているお遍路さんや、観光ツアー業者が、どの様な立場で物を言っているの分かりませんが、寺院の対応に苦言を言っている方も見受けられます。そもそも、寺院の行事では無いですので、感謝があっても苦言はありません。

もちろん、それは寺院側から見ても同じですが。

無住寺院について

残念ながら伊豆八十八ヶ所霊場は、無住(兼務であったり、檀家さんや関係者が維持管理している)の寺院があり、特に南に行くと何ヶ寺かあります。

記念印をとしての御朱印であれば、欲しい気持ちも分かりますが、お遍路としてご本尊に祈願や納経をしたのであれば、本来の目的は達成されていますので、代行印を持っている寺院で御朱印を頂けます。

伊豆八十八ヶ所霊場の専用納経帳であれば、第0番札所の三明寺にて、既に納経印を押した用紙を各寺院から預かっていますので、最後にお立ち寄り頂くか、押していない用紙と行った写真を郵送して頂ければ、全て揃う仕組みとなっています。

お遍路の作法

宗派によって、参拝の仕方は若干違いますが、伊豆八十八ヶ所霊場では、四国に倣った作法で参拝しています。

山門で一礼

山門

山門や仁王門では、笠を脱ぎ、一礼して境内に入ります。山門が無い寺院もありますが、同様に笠を取り、一礼して境内に入ります。

STEP
1

手水場で清める

手水場(ちょうずば)

数少ないですが、手水場がある寺院では、神社の作法(左手・右手・左手・口)で手と口を清めて、本堂に向かいましょう。

鐘楼堂で鐘を突く作法もあるようですが、昨今では、近隣の迷惑にもなるので行いません。

STEP
2

線香を供える

線香を供える

四国の作法でも同様ですが、寺院の行事では無い為、基本的には靴を脱がずに、一連の参拝をします。

伊豆霊場の場合、外に線香立てや灯明立てが無い寺院がほとんどなので、その場合は気持ちだけ整えましょう。

寺院のご厚意で、本堂に上げて頂いた場合には、本堂内の線香を供えても良いです。一般的には一本~三本とされています。

STEP
3

納札を納める

納札

寺院に対して、参拝しに来たことを伝えるのが「納札」と呼ばれている物で、今でいう名刺みたいな役割です。

納札箱がある寺院には、納札箱に入れ、無ければ賽銭箱でも大丈夫です。

STEP
4

般若心経を納める

納経

昔は般若心経を写経した用紙を納めていましたが、今では、読経でも良いとされていて、寺院の宗派に関係なく、真言宗の仏前勤行次第を経本として読経します。

本堂が少し開いている寺院も多いので、ご本尊様に届く様に読経します。読経も音頭があるので、最初は難しいと思います。

仏縁があれば導いて頂けると思うので、最初は信仰として「大切な人の幸せを願う」事で十分だと感じています。

STEP
5

納経所に向かう

修禅寺 納経印

四国では大師堂と呼ばれているお堂があり、そこでも線香を供える所から納経まで行います。伊豆では大師堂は第24番札所にあります。

納経所(寺務所や兼務寺院)に行き、納経した事を伝えて納経印を頂く。

専用納経帳では、既に書いてある用紙に三寶印を頂く仕組みとなっていますが、住職の時間が有って墨が準備されている場合には、書いて頂ける事もあります。

STEP
6

山門で一礼

山門で一礼

入ってくる時と同様に、山門や仁王門では、笠を脱ぎ、一礼して境内を出ます。

STEP
7