およそ50年にわたり任意団体として活動してまいりました私ども伊豆霊場振興会は、2023年11月13日付でNPO法人化いたしましたので報告申し上げます。

 伊豆八十八ヶ所霊場は信仰の対象として存在し、日本の文化として江戸時代から明治にかけ多くの参拝者を受け入れてきました。先の大戦により一旦は衰退したものの、戦後、伊東市の寺院で明治時代の納経帳が発見されたことから、県や伊豆各地の観光協会、交通事業者各位のご支援を受け、前身団体である伊豆霊場振興会が発足しています。

 初代会長は、熱海市出身で衆議院議員や県観光協会長を歴任した山田弥一氏が務め、田上東平氏により当時の情報が整理され、伊豆のお遍路文化の本として出版されたことで復興が始まりました。

 二代目会長は、修禅寺住職の丹羽圓宗老師であり、四国の歩き遍路を6回結願した経験を基に、お遍路に不慣れであった各寺院に出向き、作法や成り立ちなどを教示しつつ受け入れ体制を整備し、札所の詳しい情報本を出版しました。

 三代目会長の田中康男氏は、丹羽圓宗老師から2003年に直々に三代目会長を継ぎ、在家としての個性を発揮しました。公共交通機関を使ってウォーキング感覚でお遍路さんを引き連れ、会長就任以前を含め約17年間で500人以上のお遍路さんを結願に導いています。

 私、遠藤貴光は田中康夫氏に請われ2014年に四代目会長を拝命しました。自身44歳で結願した四国の歩き遍路の経験を基に、生業としていたIT技術を駆使し、副会長の中江章喜氏と共に私財を投じつつ復興を志しました。その後参拝者は順調に増え、年間1000人以上にお越し頂くようになったものの、2019年のコロナ禍により再び静かな霊場に戻ってしまいます。
 そしてコロナ禍も終息を見込まれた2022年10月、人気YouTube番組への出演を契機に新たな御朱印帳を制作する運びとなり、あわせて番組視聴者からも多数のご支援を受け、このたびのNPO法人設立に至りました。私は前身の任意団体に引き続きNPO法人の会長に就任し、公益性並びに透明性を求められるNPO法人の使命も背負いつつ、法人組織として地域・関係各所とより信頼性の高い連携を目指します。

 当会は、伊豆のお遍路にご興味をお持ちいただける、あるいは観光資源として取り扱っていいただける自治体や旅行会社をはじめ、旅館や食事処など観光に関わる事業者様のご参加を歓迎いたします。
 なお、従前より観光バス等によるお遍路ツアーを催行していた元三嶋観光バスの室伏強氏も今般正会員として参画し、お遍路ツアーが復活いたします。
 当会では法人・個人に関わらずご賛同いただける会員を随時募集しておりますので、伊豆八十八ヶ所霊場の復興と繁栄をご一緒に見届けていただければ幸甚にございます。

 どうぞ、これからの活動を見守ってくださいますよう、今後とも、宜しくお願い申し上げます。

代表理事より
 このたび、代表理事を拝命いたしました加藤貴康と申します。コロナが席巻する2019年、約30年ぶりに故郷伊豆に居を移し、ほどなく同級生の遠藤会長に再会しました。霊場の歴史や前身団体の成り立ちなどの経緯を遠藤会長から伺うにつれ「順風満帆ではなかったかもしれないが、このように歴史的価値ある資源が眠ってくれていたことには感謝しかなく、この時代に遭遇した我々は恵まれているとも言える。復興・繁栄に協力しない選択肢はない」と共感いたしました。そして、これまで長きにわたり前身団体を支えてくださった諸先輩方に感謝申し上げ、その礎があったからこその復興を遂げようと希望に溢れております。
 みなさまにご支援いただける公益性・透明性を持った組織運営を目指してまいりますので、至らぬ点も多いと存じますが、会長共々ご指導・ご鞭撻をお願い申し上げます。

当NPO法人の主な社員
・会長 遠藤貴光
・代表理事 加藤貴康
・専務理事 田中直人
・理事 田中康男 (第三代会長)
・理事 中江章喜 (第四代前副会長)
・正会員 室伏強 (元三嶋観光バス)
・正会員 象屋吉兆 (御朱印同好会主宰)